アクセスランキング トップ5 オートバイのバッテリー、その点検がとっても大切である理由

メンテナンス
初心者
基本テク
Profile picture for user nob_rachi
チーフライター
Kakeru Moriyama

二輪車安全運転指導員として14年ほどの実績。主に安全運転講習会で多くの受講生の方にアドバイスをさせていただいた経験を元に記事を発信しています。

公開日:
オートバイを支えるバッテリーのイメージイラスト

オートバイの高性能を支えるバッテリー。しかし気をつけないと、すぐに弱ってしまう脆さも持っている。上手に付き合う秘訣はこまめな点検だ。その方法を説明しよう。


ツーリングに出発しようとスターターボタンを押す。いつもなら勢いよくかかるはずのエンジンが、その日は弱々しい「キュル……キュル……」という音を残したきり、目を覚ましてくれない。こんな冷や汗をかいた経験はないだろうか。

このようなトラブルの多くは、弱ってしまったバッテリーに原因があるかもしれない。一昔前のオートバイであれば、バッテリーがあがっても走れるものが多かった。バッテリーを充電するための発電機を内蔵しているため、ひとたびエンジンがかかれば、必要な電力を作り出せたからだ。しかし現代のオートバイの多くは違う。バッテリーがないと燃料ポンプが動かず、ガソリンを供給できなくなるため、エンジンをかけることができないのだ。また複雑な電子制御装置もバッテリーが正常であることを前提にしている。オートバイの高性能は、バッテリーによって支えられているのだ。 だから正常に保つメンテナンスがとても大切になってくる。

とはいえ、メンテナンスの手段は限られている。最近はメンテナンスフリーを謳う密閉型(制御弁式)バッテリーが主流。バッテリー液の点検や補充が不要、というかできないからだ。メンテナンスフリーは確かに便利だが、裏を返せば、バッテリーの劣化に気づきにくいということでもある。ツーリング先でいきなりセルモーターが回らなくなって立ち往生、などというトラブルも決して珍しくない。

そうならないためにできることが、オートバイに乗る前の 乗車前点検 。点検項目をまとめた語呂合わせ「ネンオシャチエブクトウバシメ」、その「バ」にあたるのがバッテリーだ。セルモーターの回る音が、なんだか頼りなくないか。エンジンがかかっても、ヘッドライトが心なしか明滅して見えないか。こうした小さな違和感は、バッテリーが弱りかけているサインかもしれない。その兆候にいち早く気づき、必要であればショップに相談して、予防的に手を打つ。当たり前のようだが、バッテリーのトラブルを未然に防ぐには、これが一番の近道だ。

詳しい注意点などは以下のモトカケレッスンで説明する。ぜひご覧いただきたい。

モトカケレッスン

公道を走行する際は法令などを遵守の上、以下の点を守り安全運転につとめてください。 

  • 走行前に車両の点検を実施し、異常がある場合は無理に走行することは控えてください。
  •  ヘルメット・プロテクターなどの安全装備や、防護効果の高いライディングウェアなど適切な装備を着用してください。
  •  発進前には必ず後方の安全確認を行ってください。また周囲に他の車両が走行している状況では、急な進路変更や加減速などリスクのある走行は控えてください。

バッテリーの点検といっても、どこをどう見ればよいのか、戸惑うライダーもいるだろう。具体的なポイントを説明しよう。

  1. 灯火類が安定して作動しているか
    オートバイのキースイッチをオンにして、灯火類を作動させてみよう。車種によってはエンジンの始動が必要な場合もある。元気に点灯していれば問題ないが、明るさが足りないなど不安定に見えたら危険信号だ。特に大きな電力を使うセルモーターやヘッドライトは、状態の変化がわかりやすい。セルモーターの回るキュルキュル音が弱々しかったり、エンジン始動後にヘッドライトの明るさがかすかに揺らいで見えたりしたら、電圧が低下している可能性がある。気になったら、ショップでしっかり見てもらうのが安心だ。
    灯火類
  2. バッテリーをどのくらいの期間、使用しているか
    メンテナンスフリーのバッテリーといっても、無期限に使えるわけではない。明確に示されてはいないが、おおよその寿命はある。製品や使い方によって変わるので一概には言えないものの、だいたい2〜3年が一つの目安と言われている。使用期間がこれに近づいてきたら、そろそろ要注意。ショップなどに相談するようにしよう。
  3. 電圧を測れればベスト
    オートバイ用のバッテリーチェッカーや、汎用的に使えるサーキットテスター(電圧などを測る計測器)が用品店などで売られている。これでバッテリーの電圧をチェックすれば、より正確に状態を把握できる。点検はエンジンを切った状態で行う。満充電に近い正常なバッテリーなら12.5〜13V程度を示すはずで、これが11Vや10Vあたりまで下がっていたら、充電や交換を考える時期と判断できる。なお、エンジンが動いている状態では発電機が回っているため、電圧は高くなる。バッテリー自身の電圧とは異なるので混同しないようにしよう。
    バッテリーの電圧を測っているイラスト
  4. 冬場は特に気をつけよう
    バッテリーは冬の寒さに弱い。低温で化学反応が鈍り、性能が低下するからだ。容量の小さいオートバイのバッテリーなら、なおさらである。しばらく乗らないだけで放電しきってしまうこともある。長期間乗らないのなら、バッテリーのマイナス端子を外しておく、メンテナンス用の充電器につないでおくといった対策をしたい。久しぶりに乗るときは、念入りな乗車前点検を欠かさないようにしよう。なおバッテリーを外すと、時計やセキュリティ装置などに影響が出ることがある。不安があれば取扱説明書を確認したり、ショップに相談してみてほしい。

どんどん高性能化していくオートバイは、その代償としてバッテリーというアキレス腱を抱えたのかもしれない。上手に付き合っていくには、やはりこまめな点検に勝るものはない。出先で冷や汗をかかないためにも、バッテリーに限らず乗車前点検を習慣にして、心置きなくオートバイを楽しもう。

メンテナンスのよくある質問

バッテリーのトラブルを防ぐには、何をすればいいですか?

もっとも効果的なのは、こまめな乗車前点検だ。音や灯りの変化に気づいたら、早めにショップへ相談すればトラブルを防ぎやすい。

バッテリーが弱ってきたサインはありますか?

セルモーターの音がいつもより頼りない、ヘッドライトが心なしか明滅して見える、といった違和感がサインになりやすい。早めに気づければ、出先での立ち往生も防ぎやすい。

「メンテナンスフリー」のバッテリーなら、点検はいらないのですか?

いらないわけではない。液の補充が不要なだけで劣化は進む。乗る前のこまめな点検が大切だ。

昔のオートバイは、バッテリーがなくても走れたというのは本当ですか?

一昔前は本当だった。発電機を内蔵していて、エンジンさえかかれば必要な電力を自分で作り出せたからだ。ただし電子制御が複雑な現代のオートバイには当てはまらないことも多く、バッテリーは欠かせない。

「ネンオシャチエブクトウバシメ」とは何ですか?

乗車前点検で確認すべき項目を頭文字でまとめた合い言葉だ。燃料・オイル・車輪・チェーン・エンジン・ブレーキ・クラッチ・灯火類・バッテリー・締め付けを順に確認する。

詳しくはこちら
オートバイは点検項目が多くて大変そうですが、毎回やる必要がありますか?

ひとつひとつは大がかりな作業ではなく、慣れればひと通り数分で終わる。その数分が走り出した後の安心感を大きく変えてくれるのが、乗車前点検の最大のメリットだ。

詳しくはこちら
スリップサインとは何ですか?

スリップサインは、タイヤの溝の底から0.8mmの高さに設けられた、摩耗限界を示す突起だ。タイヤがすり減り、スリップサインとタイヤ表面が同じ高さになったとき、残り溝は0.8mmに達している。そうなる前に、タイヤを交換しなければならない。

詳しくはこちら
スリップサインが出るまでは、タイヤを交換しなくても大丈夫ですか?

スリップサインが出ていれば、溝の深さは0.8mm以下になっている状態だ。実際には誤差もあるだろうから、0.8mm未満になっている可能性が高く、これは法律違反となってしまう。

またスリップサインが出るまで摩耗したタイヤでは、本来の性能を発揮できない。だからスリップサインが完全に出てしまう前に、余裕を持ってタイヤを交換するのが安全だと言える。

詳しくはこちら
スリップサインはどこを見ればわかりますか?

タイヤ側面の三角マーク「▲」を探し、その延長線上の溝の中を見るとよい。(車種によって異なる)サインは中央だけでなく、直進で接地するセンターや、コーナーで接地するサイドなど複数箇所にあるので、まんべんなく見たい。

詳しくはこちら
一カ所だけスリップサインが出ていても交換が必要ですか?

必要だ。「サイドはあやしいがセンターは大丈夫」とはいかない。どこか一カ所でもスリップサインが出そうなら、そのタイヤは交換のサインだ。

詳しくはこちら
定期点検を受けていれば、乗車前点検は不要ですか?

不要とは言えない。オートバイは精密な機械で重要部品が外気に露出し、摩耗や劣化のリスクが高い。劣化は少しずつ進むため気づきにくく、日常の点検で不調の芽を摘むことが大切だ。

詳しくはこちら
乗車前点検の合い言葉「ブタと燃料」とは何ですか?

点検項目の頭文字だ。ブ=ブレーキ、タ=タイヤ、と=灯火類、燃料=ガソリン。最低限押さえたい項目で、点検はせいぜい1〜2分で終わる。

詳しくはこちら