本当は怖い、冷えたタイヤ!オートバイの走り出しを慎重にしたい理由

メンテナンス
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チーフライター
Kakeru Moriyama

二輪車安全運転指導員として14年ほどの実績。主に安全運転講習会で多くの受講生の方にアドバイスをさせていただいた経験を元に記事を発信しています。

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たき火でオートバイのタイヤを暖めようとするライダー

走り出しの「なんか怖い」は、冷えて硬くなったタイヤのせいかもしれない。タイヤは暖まって本来のグリップを発揮する。暖まるまで用心深く走ることが大切な理由を説明しよう。


オートバイに乗っていると、独特の言い回しに出会うことがある。「荷重をかける」とか「接地感がある」とか。 「タイヤが暖まる」というのも、その一つだろう。

でもそう言われて、ピンとこないライダーもいると思う。初心者の中には「タイヤって暖房機能が付いてるの?」と思った人もいるかもしれない。残念ながら、そんな親切機能は付いていない。しかし「タイヤが暖まる」ということは、とても大切なことなのだ。

言葉の意味は、まさにそのまま。タイヤが走行時の変形によって発熱し「温度が上がる」ということだ。タイヤはゴムでできている。そしてゴムは温度で性格が変わる。冷えていると少し硬くなり、路面の細かい凹凸にうまく馴染みにくい。すると、グリップ感が薄くなってしまう。タイヤの温度が上がるとゴムが柔らかくなり、本来の性能を発揮できるようになる。

たとえば冬の日のツーリング。家を出てすぐのゆるいカーブで、「なんか今日は倒れにくい」「いつもより落ち着かない気がする」と感じたことはないだろうか。「自分の運転が下手になった?」と不安になることもあるだろう。でも実は、タイヤがまだ暖まっていないだけ、というのはよくあることだ。

また、履いているタイヤの種類によって、さらに顕著になることがある。スポーツ志向の強いライダーは、高いグリップ性能を求めて、高性能なタイヤを履いている人もいるだろう。このようなタイヤの中には、暖まった状態でないと性能を発揮できないものもあるのだ。

ではタイヤが冷えているとき、どう対応すればいいのだろう。答えはシンプル。 タイヤが暖まるまでは用心深く走る、ということだ。 早く暖めるために蛇行運転などをしたくなるかもしれないが、公道では危険だ。走り出しは準備と割り切って、用心深く走るのが最善手だ。

タイヤの温度を意識しながら走っていれば、そのうち、いつもの調子が戻るのが感じ取れるだろう。なんとなく感じていた不安が消え、オートバイが軽く動くようになる。走りを楽しむのは、それからでも遅くない。

具体的な注意点などは、次のモトカケレッスンで説明する。ぜひご覧いただきたい。

モトカケレッスン

公道を走行する際は法令などを遵守の上、以下の点を守り安全運転につとめてください。 

  • 走行前に車両の点検を実施し、異常がある場合は無理に走行することは控えてください。
  •  ヘルメット・プロテクターなどの安全装備や、防護効果の高いライディングウェアなど適切な装備を着用してください。
  •  発進前には必ず後方の安全確認を行ってください。また周囲に他の車両が走行している状況では、急な進路変更や加減速などリスクのある走行は控えてください。

タイヤは暖まるまでは本来の性能を発揮できない。そのことを意識して走る方法を、整理しよう。

  1. 走り始めは、慎重な運転に徹しよう
    タイヤが冷え切っている冬はもちろん、暖かい夏であっても、油断はできない。走り出しはタイヤのグリップ力が弱いということを理解して、慎重に走ろう。とはいえ、必要以上にビクビクすることはない。急加速や急ブレーキなど、乱暴な操作は行わない、という程度で十分だ。
    次に、どのくらいの間、慎重な運転を続ければいいのか。状況によるため、一言で言うことはできない。夏なら10分程度で暖まることもあるし、冬では思ったより時間がかかることもある。 目安になるのは「いつもの安心感が戻ってくるまで」。 なんとなく感じている不安感や緊張感を大切にし、それが消えるまでは無理をしないようにしよう。

  2. タイヤを暖めるための特別な運転はやめよう
    特別な運転とは、急加速・減速や蛇行運転のことだ。サーキットでは有効な方法でも、公道では言うまでもなく危険。そんなことをしなくても、しばらく走っていればタイヤは暖まる。わざわざリスクを上げることはない。
    蛇行運転は危険

  3. タイヤだけでなく人間の身体も温めよう
    暖まっていないと調子が出ないのは、タイヤだけではない。ライダーの身体も同じことだ。オートバイに乗る前に、準備運動をして身体を温めるようにしよう。どのような運動をするかはライダー次第。無理のない範囲で、身体をほぐせれば十分だ。
    また慎重に走っている間、乗車姿勢のチェックをするのもいいだろう。ニーグリップや上半身の力みなど、基本的なチェックができていれば、タイヤが暖まった頃には準備万端だ。


タイヤが冷えているときと、暖まっているとき。オートバイの動きは、まるでちがってくる。漫然と乗っているときは気づかなくても、意識するようになれば、はっきりとわかるだろう。タイヤが暖まっているときの走りは、比べものにならないほど楽しいはずだ。

安心して楽しく走るため、タイヤが暖まるまでは慎重な走りに徹するようにしよう。

メンテナンスのよくある質問

「タイヤが暖まる」とは、どういう意味ですか?

走行時の変形でタイヤが発熱し、温度が上がることだ。ゴムは冷えていると硬く路面に馴染みにくいが、暖まると柔らかくなって本来のグリップ性能を発揮する。

タイヤが冷えているとき、どう走ればいいですか?

暖まるまで用心深く走ることだ。早く暖めようと蛇行運転をするのは公道では危険。走り出しは準備と割り切り、いつもの調子が戻るのを感じてから走りを楽しめばよい。

タイヤは溝が残っていれば、まだ使えますか?

溝だけでは判断できない。タイヤは減るだけでなく「古くもなる」。ゴムが紫外線や熱で硬くなりしなやかさが落ちるため、いわば賞味期限がある。溝が残っていても期限切れのことがある。

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タイヤの「賞味期限」はどう判断すればいいですか?

年数とひび割れの2点で判断する。一般にオートバイ用タイヤは製造から3〜5年が交換の目安だ。製造時期は刻印で確認でき、表面に細かいひび割れが出てきたら交換のサインである。

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スリップサインとは何ですか?

スリップサインは、タイヤの溝の底から0.8mmの高さに設けられた、摩耗限界を示す突起だ。タイヤがすり減り、スリップサインとタイヤ表面が同じ高さになったとき、残り溝は0.8mmに達している。そうなる前に、タイヤを交換しなければならない。

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スリップサインが出るまでは、タイヤを交換しなくても大丈夫ですか?

スリップサインが出ていれば、溝の深さは0.8mm以下になっている状態だ。実際には誤差もあるだろうから、0.8mm未満になっている可能性が高く、これは法律違反となってしまう。

またスリップサインが出るまで摩耗したタイヤでは、本来の性能を発揮できない。だからスリップサインが完全に出てしまう前に、余裕を持ってタイヤを交換するのが安全だと言える。

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スリップサインはどこを見ればわかりますか?

タイヤ側面の三角マーク「▲」を探し、その延長線上の溝の中を見るとよい。(車種によって異なる)サインは中央だけでなく、直進で接地するセンターや、コーナーで接地するサイドなど複数箇所にあるので、まんべんなく見たい。

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一カ所だけスリップサインが出ていても交換が必要ですか?

必要だ。「サイドはあやしいがセンターは大丈夫」とはいかない。どこか一カ所でもスリップサインが出そうなら、そのタイヤは交換のサインだ。

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「ネンオシャチエブクトウバシメ」とは何ですか?

乗車前点検で確認すべき項目を頭文字でまとめた合い言葉だ。燃料・オイル・車輪・チェーン・エンジン・ブレーキ・クラッチ・灯火類・バッテリー・締め付けを順に確認する。

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オートバイは点検項目が多くて大変そうですが、毎回やる必要がありますか?

ひとつひとつは大がかりな作業ではなく、慣れればひと通り数分で終わる。その数分が走り出した後の安心感を大きく変えてくれるのが、乗車前点検の最大のメリットだ。

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