モトカケ流バイクレッスン オートバイ初心者の「怖い」を消す、4つのアドバイス

アクセスランキング TOP 5

教習所で練習を重ね、苦労して免許証を手に入れた。いよいよ念願のオートバイライフが始まる!

そう意気込んでいたはずなのに、いざ公道に出ると、何をするにも不安がつきまとう。初心者ライダーの多くが通る道だろう。
不安の正体のひとつは、ライダー自身の緊張。教習所でどれだけ練習しても、公道では勝手が違う。習ったはずの操作が思うように出せず、緊張がさらに高まるという、悪循環にはまってしまう。
ただ、この緊張は少しのコツで軽くできる。ここでは初心者がつまずきやすい4つの場面ごとに、「怖い」を消すコツを紹介しよう。

免許を取れたものの、不安を感じる初心者ライダー

そもそも、走り出すのが怖い人へ

初心者のうちは、そもそもオートバイに乗って走り出すこと自体が怖い、ということも珍しくない。たとえばツーリング当日の朝。前日まであんなに楽しみだったのに、出発が近づくと胸がドキドキしてくる。そんな経験はないだろうか。そういうときは、走り出す前の準備を丁寧に整えてから出発しよう。

「こ、こんなに大きかったっけ…」とオートバイを前に尻込みするライダー
  • オートバイの乗車前点検を行おう。 愛車に問題がないことを自分の目で確かめておけば、それだけで気持ちが落ち着くだろう。
  • ライダー自身の準備運動もしておこう。 動き慣れていない身体は緊張を生み出す。軽く身体をほぐしておくだけで、走り出しの余裕がまるで違ってくる。
  • 発進時の後方確認を忘れないようにしよう。 安全のためはもちろん、自分のペースで落ち着いて発進するきっかけにもなる。

どれも教習所で習った基本ばかりだ。でも卒業してからやっていない、というライダーも少なくないだろう。しかし面倒に見えるこの準備こそ、緊張をほぐすいちばんの近道。これを機会に思い出してみよう。


ブレーキをかけるのが怖い人へ

オートバイのブレーキは、失敗すれば転倒につながりかねない操作。ベテランでも緊張する場面である。初心者が怖いと感じるのはむしろ自然なことだろう。しかしきちんと整備されたオートバイであれば、ブレーキは十分に効くはず。丁寧な操作でその性能を引き出すことができれば、転倒するほどの無理なブレーキをかける必要はないのだ。そのためのコツを、具体的に説明しよう。

市街地で「ブ、ブレーキ…」と怖々とブレーキをかけるライダー
  • ブレーキをかける前に、まずニーグリップを確認しよう。 膝でタンクを挟み、かかとも車体に押しつけてヒールグリップ。つま先はやや内側に向けると膝が自然に閉じ、ニーグリップが強まる。このようにして、下半身全体でオートバイにつかまれば、制動時に身体が前へ押し出されても、腕をハンドルに突っ張らずに済む。余分な力がハンドルに伝わらず、ブレーキが安定する。 ニーグリップの図解。お尻はシートに押しつけ、膝でタンクを挟み、かかとはヒールガードをグリップ、つま先はやや内側に向ける
  • 目線を上げて、先の方を見るようにしよう。 ブレーキで車体が前のめりになると、つられて目線も下がり、すぐ先の地面ばかり見てしまう。視界が狭くなり、それがまた緊張を呼ぶ。目線を上げて視界を確保できていれば、落ち着いて正確な操作ができるようになる。
  • ブレーキレバー、特に効きの強いフロントブレーキは、いきなりガツンと握らず2段階で操作しよう。 まず軽く握って車体を落ち着かせ、続いてさらに握り込む。効き具合を感じ取りながら正確操作ができるし、その分、気持ちにも余裕が生まれる。

コーナリングが怖い人へ

コーナリングはオートバイを操る醍醐味である一方、もともとリスクの大きい動作。だからこそ緊張を減らし、余裕を持って臨みたい。鍵になるのは、曲がり始める前にどれだけ準備を済ませられるかだ。

「曲がれるかな」と不安を抱えたまま峠道を走るライダー
  • しっかりとニーグリップしていることを確認しよう。 下半身でオートバイにつかまることで、腕の力を抜いてリラックスできる。腕の力が抜けてハンドルを押さえつけずにいられれば、オートバイが自然にハンドルを切ろうとする動き「セルフステア」を引き出して、スムーズに曲がれるのだ。さらに車体につかまることでライダーの身体が安定する。不安を軽くすることができるだろう。
  • 緩やかに減速しよう。 コーナー直前で慌ててブレーキをかけるのではなく、ずっと手前から穏やかに速度を落としておく。車体の姿勢変化を少なくできるので、不安を感じることもなく、その後の操作もやりやすい。余裕のあるコーナリングにつなげることができるだろう。
  • 目線をしっかりと進行方向へ向けよう。 目だけを動かすのではなく、おへそごと上半身を曲がる方向へ向けるイメージだ。視界が広がることで不安が軽くなるうえ、上半身の向きにつられてハンドルにも自然な舵角がつく。

こうした準備をコーナーの手前で済ませておけば、旋回そのものはずっと楽になる。コーナリングの余裕は、コーナーに入る前に作るということを意識しよう。

コーナリング前の準備の図解。コーナーを発見したらニーグリップの確認、十分手前でブレーキ、コーナー前で目線を送る

渋滞が怖い人へ

予想外の渋滞に巻き込まれ、延々と低速走行を強いられる。緊張が高まる場面だが、実はここで役立つのが、教習所の一本橋で身につけた低速バランスの技術だ。

渋滞に巻き込まれ「疲れた〜」と泣き言を言うライダー
  • ここでも土台はニーグリップ。下半身でしっかりつかまろう。 身体が安定して緊張が和らぐうえ、腕の力も抜けるので、ハンドルでバランスを取る細かい操作がしやすくなる。
  • 目線は下げず、前の車両のさらに先を見るようにしよう。 前方の流れを把握できていれば、気持ちの余裕が大きく違ってくる。前の車の急なブレーキに慌てることも減るだろう。
  • 速度を落とすときは、リアブレーキを静かに踏もう。 歩く程度の低速だと、フロントブレーキは車体が沈み込む反動でバランスを崩しやすいからだ。緊急時にはともかく、通常であればリアブレーキをメインに使うことで、安定した低速状態を保つことができる。
  • 半クラッチで微妙なスピードの調整をしよう。 アクセルは少し開けたまま一定を保ち、クラッチレバーを少し握って、クラッチが滑りながらつながる「半クラッチの位置」をレバーで探る。そこからほんの少し握ったり緩めたりして、つながりの強さを調整しよう。リアブレーキを踏んでいてもエンストすることなく、微妙なスピードのコントロールができるようになる。
  • ハンドルを小刻みに動かしてバランスを取ろう。 倒れそうになった方向へハンドルを切れば、車体は立ち直る。大きく傾いてから切るのではなく、傾きかけた瞬間にこまめに修正し続けるのがポイントだ。

低速のコツがつかめれば、わずかな操作でバランスを保てるようになる。身体の疲れも減り、何より気持ちの余裕を保てる。そうなればもう、渋滞は怖い場面ではなくなるはずだ。

目線の高さによる視界の違いを比べたイラスト
目線が低いとすぐ前の様子しか見えない(イラスト左)目線が高ければ先の方の様子まで見通せる(イラスト右)
リアブレーキで後ろに引っ張る力と、半クラッチで前に進む力が綱引きするイメージの図解
リアブレーキで減速し、半クラッチで推進力を調整する。後ろに引っ張る力と前に進む力が綱引きをしながら、ジワジワと前に進むイメージだ。

4つの場面であげたコツは、どれも教習所で習った、当たり前のことばかり。物足りなく感じるかもしれない。しかしこの当たり前を磨いていくことが、上達へのいちばん確かな道だ。

「怖い」を消すのに、特別なテクニックは必要ない。基本が身につけば緊張がほどけ、走りに余裕を生み出す。その余裕が、安全でスムーズ、そして楽しいライディングにつながっていく。次に走り出すときは、気になったコツをひとつ試してみてはどうだろうか。

またこのコーナーには、他にも初心者向けの記事が取りそろえてある。ぜひご覧いただきたい。

笑顔で海沿いの道をツーリングする女性ライダー

アクセスランキング TOP 5