モトカケ流バイクレッスン オートバイの安全運転の作り方 事故の原因と対策の方法を説明

オートバイの安全運転はライダー自身が作れる。そのための方法を説明しよう。

安全運転って、いったいどういうものなのだろう?そんな疑問を持ったことはないだろうか。

たとえば、交通法規を遵守すること。他の車両を気遣い、譲り合いの精神を持つこと。これらは、安全運転のためにとても大切な行動だ。しかしそれだけで100%の安全を手にできるわけではない。事故に巻き込まれたり、些細な油断が事故につながってしまったりすることは珍しくない。

結局、オートバイに乗る以上、事故のリスクをゼロにすることはできないのだ。だとしたら、安全運転のための努力は無意味なのだろうか。

そんなことはない。リスクをゼロにできなくても、ゼロに近づけることはできるからだ。法規の遵守に譲り合いの精神。さらに安全確認の実施、適切な装備、道路の状況に応じた正確な操作など。小さな「安全の工夫」を重ねて、事故のリスクを削っていく。それが安全運転ということではないだろうか。

ここでは事故のデータを手がかりに「単独事故を防ぐ」「右直事故に備える」「装備で身を守る」という3つのケースを説明する。ぜひ参考にしていただきたい。

海沿いの道を楽しそうにツーリングするライダーたち

オートバイの事故死者数は「単独事故」「右直事故」が多い

このグラフは警察庁・2026年上半期の、オートバイ事故による死者数のデータである。「車両単独」など事故のタイプ(類型)別にまとめられている。

出典:警察庁資料・8頁

事故の相手がいない、オートバイ単独事故の「車両単独」が約3割と最も多い。次いで、直進車両と右折車両と衝突する「右直事故」、交差点などで起きる「出会い頭事故」がそれぞれ2割程度となっている。「単独事故」「右直・出会い頭事故」が、オートバイ事故の典型的なパターンといえるだろう。

全国・二輪車乗車中の死者数(事故類型別)の円グラフ。2026年上半期(1〜6月)、合計204人、一般原付を含む。車両単独63人(30.9%)、右折直進44人(21.6%)、出会い頭41人(20.1%)、その他(車両相互)23人(11.3%)、正面衝突18人(8.8%)、追突14人(6.9%)、列車1人(0.5%)。

【車両単独事故】スピードの出し過ぎが原因の一つ。

車両単独事故は、相手車両がおらず、オートバイがカーブを曲がりきれずガードレールに衝突してしまうような事故だ。 ニュースで「ツーリング中のオートバイがカーブを曲がりきれずに死亡」といった記事を見かけたことはないだろうか。自分自身がヒヤリとした体験を持つライダーも、決して少なくはないだろう。その原因の一つは「スピードの出し過ぎ」とされている。

参考:長野県で発生した自動二輪車単独事故の分析、「TR-mag.」2024年秋号・誌面14ページ

このような事故を防ぐには、もちろんスピードを抑えることが大切。自分の運転技術を過信しないこと、そしてなにより、スピードを出すよりももっと楽しい、オートバイの操り方に目を向けることだ。自身の技量と現在の道路状況にあわせ、的確なスピードと正確な操作で、余裕のある走りをつないでいく。これこそがオートバイを操る喜びではないだろうか。

海沿いのカーブを走るライダーたち

【右直事故・出会い頭事故】車体の小さなオートバイは見落とされやすいことが原因の一つ。

直進車両と右折してくる車両が衝突してしまう右直事故。その主な原因として、「車体の小さなオートバイは近づいてくる速度や距離感を見誤りやすいこと」「直進側の優先意識」などが指摘されている。

参考:警視庁「右直事故はなぜ起こる?」(2024年2月発行)

また交差点などで衝突してしまう出会い頭事故は、「発見の遅れ」「安全確認の不十分」が大きな原因とされている。

参考:ITARDA「二輪車事故の特徴―『見落とし』に注意―」No.91(2011年11月発行)

仮にオートバイ側に全く過失がなかったとしても、相手から見落とされていれば、事故は起きる。その事実に向き合うことが大切だ。「直進優先」だからといって無防備に交差点を通過するのではなく、「相手が見落としているかもしれない」と防衛的に考えるようにしよう。念のため、少しだけスピードを緩めるとか、万が一に備えてブレーキレバーに指をかけておくとか。そのちょっとした用心の積み重ねが大切だと言える。

街中の交差点付近を、歩行者や対向車に気を配りながら走るライダーたち

「頭部」「胸部」「腹部」の損傷が死亡原因の約7割を占める

もう一つのデータを見てみよう。致命傷となった損傷部位についてまとめたデータだ。

全国・二輪車乗車中の死者数(損傷主部位別)の円グラフ。2026年上半期(1〜6月)、合計215人、自動二輪車・一般原付(同乗者等を含む)。頭部71人(33.0%)、胸部67人(31.2%)、腹部10人(4.7%)、全損26人(12.1%)、頸部15人(7.0%)、その他の部位26人(12.1%)。

出典:警察庁資料・16ページ、表2-4-2

これを見ると、頭部の損傷と胸部・腹部の損傷がそれぞれ3割強、合わせて7割程度を占めている。

ヘルメット装着は義務化されているのに頭部損傷が多い。一応被ってはいても、きちんと被っていなかったり、あごひもが緩かったりすると、いざというときに脱落してしまうのだ。あごひもをしっかり締めるという一手間を、ぜひ習慣化したい。

胸部・腹部については、プロテクターを装着することが有効だ。価格や見栄えが気になって敬遠するライダーも多いだろうが、最近ではプロテクターを内蔵するウェアも珍しくない。手軽に買えるものから性能の高い高級品まで、バリエーションも増えてきている。これを機会に、ぜひ購入を検討してみてはどうだろうか。

全国・二輪車乗車中の死者数(損傷主部位別)の円グラフ。2026年上半期(1〜6月)、合計215人、自動二輪車・一般原付(同乗者等を含む)。頭部71人(33.0%)、胸部67人(31.2%)、腹部10人(4.7%)、全損26人(12.1%)、頸部15人(7.0%)、その他の部位26人(12.1%)。

オートバイはリスクの高い、危険な乗り物。残念ながらこれは事実だ。だからこそ、ライダーには安全運転の意識が欠かせない。ライディングウェア選びにあごひもの締め方、安全確認や目線の意識。そしてむやみにスピードを求めるのではなく、スムーズで余裕のあるライディングの技術。これらを少しずつ積み重ねることが大切だ。

そのようにして、オートバイの安全運転は作ることができるのだ。

夕日の海辺で笑顔で手を振るライダーたち