余裕が違う!オートバイのコーナリングを支える「直線での準備」とは

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チーフライター
Kakeru Moriyama

二輪車安全運転指導員として14年ほどの実績。主に安全運転講習会で多くの受講生の方にアドバイスをさせていただいた経験を元に記事を発信しています。

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コーナリング前の操作を考えるライダー

コーナリングがギクシャクする一因は、操作をコーナーの中で慌てて行うからだ。ニーグリップ・減速・ライン取りといった準備を、直線のうちに前倒しで済ませておくやり方を説明しよう。


オートバイのコーナリングは、大きく3つの段階に分けることができる。

一つ目は、まだ直線を走っている段階。コーナーに進入する前の時間である。
二つ目は、コーナーに進入し、オートバイを傾けて旋回している段階。
そして三つ目は、旋回を終えてアクセルを開け、加速していく段階だ。

また、コーナリングには様々な操作が必要だ。ブレーキをかけて減速したり、走行ラインを見極めたり、荷重を左右にコントロールしてオートバイをバンクさせたり、目線を進行方向に送ったり、などなど。思わず「こんなにやることがあるのか」と驚いてしまうほど、多くのことを短い時間の中で処理しなければならない。

ライダーはこうした一連の操作を無意識に行っている。しかし、どの操作を3段階のうちどこで行っているか、 意識しているライダーは少ないのではないか。たとえば、思いっきりコーナーに突っ込み、入り口直前でハッと気づいて急ブレーキをかけ、旋回中にあわててオートバイを傾け直し、うまく曲がりきれずにさらにブレーキをかけて減速する。そんな「後手後手に回る」走り方になっていないだろうか。

それでは、とてもスムーズとは言えない。オートバイにもライダーにも、十分な余裕を確保できるライディングを目指したい。それを実現する一つの方法が、 「コーナリングの準備を直線部分で済ませておく」 という走り方だ。

たとえ初めて走る道であっても、コーナリングに必要な情報は、実はコーナーのかなり手前から把握することができる。たとえば数十メートル前であれば「あそこにコーナーがある」ということがわかるはずだ。その時点でまず 「ニーグリップができているかを確認する」 という準備ができる。オートバイに下半身でしっかりとつかまることが、すべての操作の土台となる、大切な準備である。

コーナーに近づいたら、ブレーキをかけて減速するという準備ができる。さらにその先ではライン取りをイメージする、という準備ができる。このように コーナリングに必要な動作の多くは、実際にコーナーに入る前に済ませておくことができるのだ。 準備をすべて終えておけば、あとはコーナーに進入するタイミングでオートバイをバンクさせるだけ。無理なく安定した旋回が始まり、イメージしたラインに沿って、オートバイが自然に走ってくれるだろう。

オートバイをライダーの意図どおりに走らせたいのであれば、必要な操作はできるだけ前倒しで行うことが大切だ。 早めに準備を済ませることで、ライダーの気持ちにも余裕が生まれ、それが安全でスムーズなライディングへとつながる。何事も、早め早めの対応が肝心、それはコーナリングにおいても、例外ではない。

具体的な方法は以下のモトカケレッスンで説明する。ぜひご覧いただきたい。

モトカケレッスン

公道を走行する際は法令などを遵守の上、以下の点を守り安全運転につとめてください。 

  • 走行前に車両の点検を実施し、異常がある場合は無理に走行することは控えてください。
  •  ヘルメット・プロテクターなどの安全装備や、防護効果の高いライディングウェアなど適切な装備を着用してください。
  •  発進前には必ず後方の安全確認を行ってください。また周囲に他の車両が走行している状況では、急な進路変更や加減速などリスクのある走行は控えてください。

オートバイのコーナリングで、旋回をはじめる前に準備しておける操作は多い。どのようなものがあるか、具体的に説明しよう。

  1. オートバイで走っていて、先の方にコーナーが見えたら、もう準備を始めることができる。まずスムーズにコーナリングをするための大前提「ニーグリップのチェック」をしておこう。
    膝はしっかりとタンクを挟み、つま先はやや内側に向けてニーグリップを補強。かかともヒールガードなどに押しつけ、車体にグリップする。下半身全体でオートバイにしっかりとつかまっていることが大切だ。

  2. 次の準備は「減速」だ。コーナーの形状などおおまかな様子がわかる位置まで来たら(速度にもよるが20〜30メートル程度)前後両方のブレーキを使って減速を始めよう。 いきなり強いブレーキをかけるのではなく、弱めのブレーキで穏やかな減速をする。急激なブレーキで減速すると、フロント側が大きく沈み込むなど、車体の姿勢が乱れてしまうからだ。弱めのブレーキで、不安を感じない速度まで、しっかりと減速しよう。また同時に、必要であれば、速度に合わせてギアをシフトダウンしておこう。

  3. 進行方向をしっかりと見て、コーナーの様子を把握することも大切だ。コーナーの入り口手前あたりまで進んだら、先の方へ視線をしっかりと向けよう。 目だけを動かすのではなく、おへそを向けるイメージで、上半身全体を進行方向に向けるのがポイントだ。大きく上半身を動かすため、前述のニーグリップがしっかりとできていることが前提となる。

  4. 視線を向けてコーナーの様子が見えれば、「走行ライン」をイメージすることができる。他の車両が走っていないことを確認したうえで、「大きく入って小さく出る」ラインをイメージして、少しだけコーナー外側に寄っておこう。 もしコーナーが小さくて出口まで見通せるのなら、どの辺にクリッピングポイントを取れば良いのかの当たりがつけられるし、見通せないのならとりあえず外側寄りを走り続けるという判断ができる。対向車の有無やセンターラインを割っていないなどの安全確認を最優先にしつつ、スムーズな走行ラインをイメージしよう。

  5. さいごに、ライダーの頭を少しだけ「オートバイの中心線より内側」に入れておこう。 ただしこの段階では、まだ車体をバンクさせないし、大きな動きも不要。あくまでもバンクさせるための準備である。
    コーナリング前の準備

  6. コーナーの入り口まできたら、いよいよ、車体をバンクさせて旋回する。 そのための準備はすでに整っているから、肩や腕など上半身の力をぬいて、車体を直立に保っていた力を弱めてやれば、自然にバンクしてスムーズに安定した旋回をはじめるだろう。
    あとはアクセルを一定のまま旋回を続ける。コーナーの出口が見え、オートバイの向きが完全に出口の方向を向いたら、アクセルを丁寧に開けて加速、コーナーを脱出する。


多少乱暴な言い方にはなるが、コーナリングのために必要な操作は、その大半がコーナーに進入する前に準備しておける、 ということができる。準備万端の状態でコーナーへ入り、あとは車体の安定を崩さないように微調整しつつ、淡々と旋回する、というイメージだ。このような走りをすれば、オートバイの挙動にもライダーに気持ちにも、余裕を持つことができる。その余裕が安全・スムーズなライディングにつながる。そして余裕のあるライディングは、とても楽しい。

その楽しさを手にするために、十分な事前準備を行うコーナリングを、まずは一度、試してみてほしい。

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コーナリング・ライディングフォーム・ブレーキのよくある質問

コーナリングがギクシャクしてしまうのはなぜですか?

必要な操作をコーナーの中で慌てて行い、後手に回るからだ。突っ込んでから急ブレーキ、旋回中に傾け直し…となると、とてもスムーズには曲がれない。

コーナリングをスムーズにする「直線での準備」とは?

コーナリングに必要な操作を、コーナーに入る前の直線部分で前倒しに済ませておくことだ。ニーグリップの確認、減速、ライン取りのイメージを直線のうちに終え、あとは進入して倒すだけにする。

ブレーキで一番大切なのは、短い距離で強く止まることですか?

強く止まること以上に大切なのは「安定して止まる=転倒しない」ことだ。転倒すれば減速も回避もできなくなる。多少停止距離が伸びても、転ぶよりはずっとよい。

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ABSが付いていれば力任せにブレーキをかけても大丈夫ですか?

そうとは言えない。ABSはタイヤのロックは防ぐが、腕に力が入るとハンドルごと引き寄せて車体姿勢が乱れ、スリップにつながる。姿勢の乱れまでは制御できないので、正確な操作は依然として大切だ。

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見通しの良い直線道路は、安全なのではないですか?

安全とは限らない。見通しが良すぎると、ライダーも対向車も歩行者も「大丈夫だろう」と油断しがちだ。お互いが油断していると、いざ出会ったとき事故につながりやすい。

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右直事故を防ぐには、どうすればいいですか?

具体的な用心を重ねるしかない。対向車線の右折待ち車を「曲がってくるかも」と警戒し、歩行者を「飛び出すかも」と用心する。ほんのコンマ何秒早くブレーキできれば、被害は大きく変わる。

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すぐにできるフォーム改良のポイントはありますか?

「足のつま先」を意識するとよい。つま先が外に開くと膝も開いてニーグリップが弱まる。つま先を閉じると膝が自然に締まり、下半身でしっかりつかまれて操作がスムーズになる。

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つま先を閉じると、見た目以外にもメリットはありますか?

ある。つま先が閉じているとブレーキペダル・チェンジペダルの上に足がある状態になる。頻繁なブレーキやギアチェンジが必要な場面でも、素早い操作ができる。

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