モトカケレッスン
このレッスンは公道での走行には適さない内容を含んでいます。
法令違反や事故の原因となる可能性があります。必ず貸しコースなどクローズドな練習場所で実施してください。
- 貸しコースでは、決められたルールを守るようにしてください。
- 空いている駐車場などでの練習は、管理者や近隣への迷惑となりますので、やめてください。
- 安全運転講習会などに参加する場合は、必ずカリキュラムや指導員の指示に従ってください。
ABSの性能を活かすには、強いブレーキをかけられることが前提。その方法を説明しよう。
なおこのレッスンは、一般公道で行うべき内容ではない。緊急事態でもない限り、公道での強いブレーキは、大変に危険だからだ。貸しコースなどクローズドな練習場所を用意した上で、行う必要がある。
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ニーグリップと視線を確認しよう
ブレーキをかけるときには、しっかりしたニーグリップでオートバイにつかまることが大切。強いブレーキをかけるときはなおさらだ。膝でタンクをはさみ、かかとも使って車体にグリップ。つま先は閉じてニーグリップを強化しよう。下半身でオートバイにつかまれば、手の力でハンドルにつかまらずにすむ。またおへそを後ろに引いて、お尻をシートに押しつける。上半身が軽く起きて、目線が上がり、進行方向を広く見渡すことができるようになる。
ニーグリップのポイント
上体を軽く起こして目線を上げよう -
少し遅めの速度で助走を始めよう
クローズドなコースでブレーキの練習をするとき、慣れないうちは遅めの速度で走る方がやりやすい。速度が高いと、ブレーキをかけるときに怖さを感じてしまうからだ。目安は30km/h〜40km/h程度。安心できる速度で、しっかりとブレーキをかけることに集中しよう。 -
ブレーキは2段階の操作でかけよう
ABSがついていても、ブレーキをいきなり強く握りしめるのはNG。腕が力んで、ハンドルごと引いてしまうことがあるからだ。ブレーキ中にハンドルがよれることで車体が傾くと、スリップするリスクが高くなる。ハンドルに余計な力をかけず、車体をまっすぐに保つためには、落ち着いた操作が必要だ。
まず軽めにブレーキをかける。続けてレバーをしっかりと握り込もう。2回に分けることで、力みづらくなり、安定したブレーキをかけることができる。 -
ABSが効くまで、しっかりとブレーキをかけよう
2回目の操作でブレーキを握り込むときは、ABSを効かせることを意識しよう。せっかくの練習だ。ABSが作動したときの挙動を体験し、慣れておこう。ブレーキが効くにつれて、慣性の力により、ライダーの身体は前のめりになってしまう。意識的におへそを後ろに引き、お尻をシートに押しつけて、姿勢を保つようにしよう。腕をハンドルに突っ張って、押さえつけてしまうのを防ぐことができる。
※ABSがフロントのみに装着されている車種も存在する。その場合にはリアブレーキは慎重に操作してほしい。 -
ブレーキは最後までかけきろう
ABSが作動すると、結構強い振動がレバーに伝わってくる。またスピードが高いときや、路面が濡れているときなどは、ABSの動作が間に合わず、タイヤが一瞬、ロックしてしまうことがある。慣れていないとびっくりして、ブレーキを離してしまうかもしれない。これでは制動距離が伸びてしまう。ABSの挙動に驚かず、最後までしっかりとブレーキをかけきろう。
このレッスンは、公道で行える内容ではない。しかし貸しコースを探すと言っても、難しいこともあるだろう。そこでおすすめなのが、講習会への参加だ。二輪車普及安全協会が行っている「Basic Riding Lesson」や、警察主催の二輪車安全運転講習会、民間のライディングスクールなどでは、ブレーキレッスンを実施していることも多い。機会があれば参加してみよう。(なお講習会に参加するときは、必ず、指示されたカリキュラムや指導員のアドバイスに従ってほしい。勝手な方法で練習するのは大変に危険である。)
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ブレーキのよくある質問
- ABSが付いているとブレーキがよく効くようになるのですか?
答えはノーだ。ABSはタイヤのロックを防ぐ安全装置で、ブレーキの効きを強くする装置ではない。ライダーがしっかりブレーキをかけられなければ意味がない。
- ABSはどんな仕組みでタイヤのロックを防ぐのですか?
タイヤの回転が止まる寸前に自動的にブレーキを弱め、回転が戻ったらまたかける、という動作を高速で繰り返す。これによりタイヤがロックしにくくなり、滑りやすい路面で効果が大きい。
ABS付きオートバイのブレーキは高性能?意外な答えを説明しよう
二輪車安全運転指導員として14年ほどの実績。主に安全運転講習会で多くの受講生の方にアドバイスをさせていただいた経験を元に記事を発信しています。
ABSが付くとブレーキがよく効くのか。答えはノーだ。ABSはタイヤのロックを防ぐ装置で、効きを強くするものではない。その仕組みと、性能を活かすために必要なブレーキの考え方を説明しよう。
「ABSがついているとオートバイのブレーキがよく効くようになるんですか?」
その疑問に答える前に、ABSについて説明しよう。
ABSは「アンチロック・ブレーキ・システム」の略。ブレーキを強くかけすぎたときに、タイヤのロックを防ぐ安全装置だ。2018年以降は義務化されているので、新しいオートバイに乗っていれば、装備されているはずだ。
※新型車は2018年10月から、継続生産車は2021年10月から。125cc以下はABSかCBSのどちらかを装備。50cc以下は適用外。(資料:国交省の安全基準改正について https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000170.html)
動作原理はこうだ。ブレーキを強くかけすぎると、制動力がタイヤと地面の摩擦力を上回って、タイヤの回転が止まる。つまりタイヤがロックする。タイヤのグリップは失われ、スリップ状態となる。最悪の場合は転倒につながってしまう。
このときABSは、タイヤの回転が止まる寸前に、自動的にブレーキを弱める。タイヤは回転を続けるので、ABSがブレーキを元に戻す。また回転が止まりそうになったら、ブレーキを弱め……この動作を高速で繰り返す。
その結果、強くブレーキをかけても、タイヤはロックしにくくなる。特に雨の日やマンホールの上など、滑りやすい路面では効果が大きい。いざというときにライダーは、安心してしっかりとブレーキをかけられるようになる。
ただし注意点もある。ABSはブレーキの解除・復元を繰り返す。短時間とはいえブレーキを解除するため、路面の状況やライダーのスキルによっては、制動距離が伸びてしまうこともある。ABSはロックを防ぐための安全装置。ブレーキの効きを強くする魔法の装置ではないのだ。
したがって、ABSの性能を活かすためには、しっかりとしたブレーキをかけられることが必要だ。
ここで最初の疑問に戻ろう。「ABSでブレーキがよく効くようになるのか?」その答えはノーである。繰り返しになるが、ABSはタイヤのロックを防いでくれる装置。ブレーキの効きを強くする装置ではない。ライダーがしっかりとブレーキをかけられなければ意味がないのだ。
いざというときに、力強くブレーキをかける。これは言うほど簡単なことではない。ABSが守ってくれるとわかっていても、躊躇してしまうこともあるだろう。できることなら、安全運転講習会やライディングスクールなどでブレーキの練習を積んで、万が一の事態に備えたい。
なおここで説明しているのは、あくまで緊急時にかけるブレーキについてだ。日常的なブレーキでもABSを効かせよう、という趣旨ではない。一番大切なのは、ABSが必要な状況を作らない走り。スピードにとらわれず、スムーズで余裕のある走りであることを、忘れないようにしよう。
詳しいことは次のモトカケレッスンで説明する。ぜひご覧いただきたい。