忘れがちだけど超重要!オートバイのチェーンメンテナンス入門

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チーフライター
Kakeru Moriyama

二輪車安全運転指導員として14年ほどの実績。主に安全運転講習会で多くの受講生の方にアドバイスをさせていただいた経験を元に記事を発信しています。

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オートバイのチェーンメンテナンスに挑戦するライダー

汚れて触りたくないチェーンも、壊れれば走れなくなる重要部品だ。洗車のついでに始められる清掃・注油・張りの調整という3つのポイントで、チェーンメンテナンスのやり方を説明しよう。


楽しいツーリングから帰ってきたとき。最後の仕上げとして洗車をするライダーも多いだろう。丁寧に汚れを落としていると、何らかの異常があってもすぐに気づくことができる。とても意味のある習慣だ。

まず、カウリングやタンクなどの外装を洗い流す。エンジンやマフラーは、冷えるのを待ってから。フロントフォークやリアサスペンションについた汚れも落としたい。ホイール周りは手強いが、きれいにすれば達成感は大きい。

あれ、何か忘れていないか?そう思った人は、するどい。エンジンとリアタイヤをつなぐ駆動系の要、ドライブチェーンが抜けている。

チェーンは多くの場合、外部に露出している。注油されてべとついているため、すぐ真っ黒になってしまう。こんな汚いものには触りたくない、というライダーも少なくない。

しかしチェーンが壊れてしまうと、オートバイは走ることができなくなる。超がつくほどの重要部品なのだ。だからそのメンテナンスは、しっかりと行いたい。

メンテナンスのポイントは3つある。

まずは、清掃。 チェーンが汚れるのは仕方のないこと。多少であれば気にしなくても問題ない。しかし放置して真っ黒になっているようでは、劣化が進む。錆が出ても気づきにくい。定期的な清掃を忘れないようにしたい。

つぎに、注油。 機械部品であるチェーンは、常にオイルで潤滑されている必要がある。最近のものは「シールチェーン」といって、中にグリスが封入されている。基本的に潤滑不足になることはないが、放置するとシールが劣化してしまう。だから外側からチェーンルブ(チェーンオイル)を吹き付ける必要がある。

最後に、張りの調整。 チェーンが正常を保つには、適正なたるみが必要。しかし大きな負荷がかかっているため、必ず伸びてしまう。コマの結合部が摩耗して、隙間が増えるためだ。そのため適正に張った状態に戻す調整が必要となる。適切な工具と経験があればむずかしくない作業だが、初心者には荷が重いかもしれない。不安があれば、ディーラーやショップに依頼しよう。基本的には、定期点検の時にやってもらえるはずだ。

チェーンが劣化すると、ジャラジャラ音がしたり、スロットルのレスポンスが悪くなったりする。最悪の場合、外れてしまう可能性もある。しかし症状は少しずつ進行するため、気づけないことも多い。日常的な点検と、可能な範囲でこまめにメンテナンスをすることが大切だ。

具体的な方法は、次のモトカケレッスンで説明する。ぜひご覧いただきたい。

モトカケレッスン

公道を走行する際は法令などを遵守の上、以下の点を守り安全運転につとめてください。 

  • 走行前に車両の点検を実施し、異常がある場合は無理に走行することは控えてください。
  •  ヘルメット・プロテクターなどの安全装備や、防護効果の高いライディングウェアなど適切な装備を着用してください。
  •  発進前には必ず後方の安全確認を行ってください。また周囲に他の車両が走行している状況では、急な進路変更や加減速などリスクのある走行は控えてください。

チェーンのメンテナンスは、こまめに行うことが大切。無理のない範囲で、自分でやってみよう。

なお作業を行う時は、必ずエンジンを切ってから。マフラーやエンジンによる火傷にも注意しよう。

チェーン掃除の道具一式
チェーン掃除の道具一式。すべて必要というわけではないが、そろえておくと作業が早い。

チェーンの清掃

汚れが軽いときは、洗車のついでにブラシでこすりながら水で流すだけでも十分。終わったら布(ウェス)で水をふき取っておこう。汚れがひどいときは、市販のチェーンクリーナーを使うといい。

  1. まず、チェーンの下、それとタイヤとのあいだに新聞紙などを敷こう。クリーナーがタイヤや地面に飛び散るのを防ぐためだ。同じクリーナーと言っても、パーツクリーナーの使用はNG。シールを痛めてしまうからだ。
  2. チェーンクリーナーを吹き付け、しばらくおいてからブラシでこすって汚れを浮かせる。ブラシはナイロン製などの柔らかいものを使用。金属製のブラシは、シールやチェーンを傷つけてしまうので使えない。
  3. チェーン全体を清掃するために、オートバイを移動させてチェーンを回してから、同じ作業を繰り返そう。センタースタンドの付いた車両やメンテナンススタンドがあれば、タイヤをグルグルと回せるため、作業が早い。(決してエンジンをかけてタイヤを回してはならない。大変に危険である。)
  4. 最後にウェスで汚れをふき取れば終わりだ。清掃をすると、チェーンのオイルも洗い流してしまう。基本的には、注油の作業をセットで行おう。
    チェーン掃除用ブラシ
    チェーン掃除用のブラシ。一度に3面をこすれて便利。

注油

  1. まず新聞紙を敷いて地面やタイヤにチェーンルブが飛び散らないよう、準備を行おう。特にタイヤやブレーキについてしまわないように注意。もしついてしまったら、しっかりとふき取ろう。
  2. オートバイを移動させながら、あるいはタイヤを回しながら、全体にチェーンルブを吹き付ける。このとき、付属している細いチューブを使えば、チェーンルブが広く飛び散らずにすむ。大量に吹き付ける必要はない。チェーンの内側と外側に、1周ずつ程度吹き付ければ十分だ。
  3. 作業が終わったら、しばらくおいてチェーンルブを十分に浸透させる。できればタイヤを回してやれば、さらに効果的だ。
  4. 最後に、ウェスで余分なチェーンルブをふき取ろう。どんなにふき取っても、作業直後に走行するとチェーンルブが飛び散ることがある。最初は、多少汚れても構わない服装で乗るといいだろう。
    チェーンルブの塗布
    チェーンルブの塗布。付属のチューブを使うと飛び散らずに作業がしやすい。

張りの調整

チェーンの張り調整は、適切な工具と経験さえあれば、それほどむずかしくはない。しかし慣れていないライダーには荷が重いだろう。ここでは一般的な概要を述べるにとどめる。

まずリアタイヤのアクスルシャフトを緩める。次に、スイングアームの端に付いている、アジャスターのロックナットを緩め、アジャストナットを回してチェーンの張りを調整する。調整が終わったら、ロックナットを締め付け、アクスルシャフトも規定トルクでしっかりと締め付けて完成だ。

シンプルな作業だが、アクスルシャフトの締め付けにはしっかりした工具が必要。アジャストナットも左右均等に調整しなければならない。不用意に行うのは危険である。自信が無いときはショップに依頼するのが無難だろう。


チェーンの劣化は、思いのほか走りに影響する。劣化が進めば、チェーンが外れるなどのリスクもある。自分のできる範囲で、こまめにメンテナンスをする習慣を身につけよう。安心して楽しくオートバイで走るためには、必須とも言える習慣である。

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メンテナンスのよくある質問

チェーンメンテナンスのポイントは何ですか?

清掃・注油・張りの調整の3つだ。真っ黒になるまで放置すると劣化が進み錆も気づきにくい。シールチェーンも外側からの注油が必要で、伸びてきたら適正なたるみに張り直す。

チェーンの張りの調整は、自分でやるべきですか?

適切な工具と経験があれば難しくないが、初心者には荷が重いかもしれない。不安があればディーラーやショップに依頼しよう。基本的には定期点検の時にやってもらえる。

走り出しの違和感は、オートバイの不調が原因ですか?

オートバイではなくライダー自身の準備不足が原因のこともある。エンジンと同じく、人にも「暖機」が必要だ。オートバイは体を動かして操るスポーツのようなものだからである。

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乗車前の準備運動は、どんなことをすればいいですか?

大げさなものは必要ない。首をゆっくり前後左右に傾けて緊張をほぐす、足首をゆっくり回してステップ操作に備える、アキレス腱を伸ばす、といった程度でよい。出発前のちょっとした時間で行える。

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定期点検を受けていれば、乗車前点検は不要ですか?

不要とは言えない。オートバイは精密な機械で重要部品が外気に露出し、摩耗や劣化のリスクが高い。劣化は少しずつ進むため気づきにくく、日常の点検で不調の芽を摘むことが大切だ。

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乗車前点検の合い言葉「ブタと燃料」とは何ですか?

点検項目の頭文字だ。ブ=ブレーキ、タ=タイヤ、と=灯火類、燃料=ガソリン。最低限押さえたい項目で、点検はせいぜい1〜2分で終わる。

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スリップサインとは何ですか?

スリップサインは、タイヤの溝の底から0.8mmの高さに設けられた、摩耗限界を示す突起だ。タイヤがすり減り、スリップサインとタイヤ表面が同じ高さになったとき、残り溝は0.8mmに達している。そうなる前に、タイヤを交換しなければならない。

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スリップサインが出るまでは、タイヤを交換しなくても大丈夫ですか?

スリップサインが出ていれば、溝の深さは0.8mm以下になっている状態だ。実際には誤差もあるだろうから、0.8mm未満になっている可能性が高く、これは法律違反となってしまう。

またスリップサインが出るまで摩耗したタイヤでは、本来の性能を発揮できない。だからスリップサインが完全に出てしまう前に、余裕を持ってタイヤを交換するのが安全だと言える。

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スリップサインはどこを見ればわかりますか?

タイヤ側面の三角マーク「▲」を探し、その延長線上の溝の中を見るとよい。(車種によって異なる)サインは中央だけでなく、直進で接地するセンターや、コーナーで接地するサイドなど複数箇所にあるので、まんべんなく見たい。

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一カ所だけスリップサインが出ていても交換が必要ですか?

必要だ。「サイドはあやしいがセンターは大丈夫」とはいかない。どこか一カ所でもスリップサインが出そうなら、そのタイヤは交換のサインだ。

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