オートバイのクラッチなんて面倒なだけ?苦手を卒業する操作のコツ

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チーフライター
Kakeru Moriyama

二輪車安全運転指導員として14年ほどの実績。主に安全運転講習会で多くの受講生の方にアドバイスをさせていただいた経験を元に記事を発信しています。

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クラッチ操作で左手が疲れたライダー

クラッチは面倒なだけの存在なのか。発進・シフトチェンジ・低速時の駆動力調整という3つの役割を知れば、その大切さがわかる。苦手を卒業し操作の幅を広げる方法を説明しよう。


クラッチが苦手、というライダーは少なくない。発進のたびにギクシャクしたり、シフトチェンジでガクンと衝撃が出たり。「もっとスムーズにできたらいいのに」と感じたことがある人は多いだろう。実際、クラッチの負担を減らす仕組みがたくさん生まれている。スクーターなどのAT車は昔から人気があるし、クイックシフターを標準装備する車種も増えた。従来のクラッチ機構を電子制御で自動化する技術も普及しつつある。

こうした流れを見ると、世の中はクラッチをなくす方向へ進んでいるようにも見える。もはや必要のない技術ということなのだろうか。ここであらためて、クラッチが何をしているのかを整理してみよう。

一つ目は、スムーズに発進するための役割。 停止状態からエンジンの力を後輪に伝えるとき、いきなりつなげばエンストしてしまう。半クラッチで駆動力を少しずつ伝えることで、滑らかなスタートが可能になる。

二つ目は、スムーズにシフトチェンジするための役割。 走行中にギアを切り替えるには、一瞬だけエンジンと駆動系の接続を切る必要がある。クラッチはその「切り離し」を担っている。

そして三つ目は、低速時にエンジンの駆動力を細かく調整する役割。 歩く程度の速度で進んでいるとき、アクセルだけでは繊細なコントロールが難しい。半クラッチを使えば、エンジン出力の一部だけを後輪に伝えることができるため、微妙な速度の調整が可能になる。渋滞でのノロノロ走行や、駐車場での低速走行など、低速で安定して走りたい場面で力を発揮する操作だ。

もちろん、AT車や電子制御クラッチ車は、このような操作に対応してくれる。しかし、たとえば一本橋など極低速が必要な場面では、手動の繊細な操作が活きることもあるようだ。面倒に思えるクラッチだが、使いこなせるようになると、操作の幅はぐんと広がる。それが、オートバイを操るよろこび、走る楽しさにつながっていく。決して必要のない技術、というわけではないのだ。

詳しいことは以下のモトカケレッスンで説明する。ぜひご覧いただきたい。

モトカケレッスン

公道を走行する際は法令などを遵守の上、以下の点を守り安全運転につとめてください。 

  • 走行前に車両の点検を実施し、異常がある場合は無理に走行することは控えてください。
  •  ヘルメット・プロテクターなどの安全装備や、防護効果の高いライディングウェアなど適切な装備を着用してください。
  •  発進前には必ず後方の安全確認を行ってください。また周囲に他の車両が走行している状況では、急な進路変更や加減速などリスクのある走行は控えてください。

クラッチ操作のコツを、場面ごとに説明しよう。

  1. 発進時──アクセルを先に決めてから、クラッチをつなごう
    発進でギクシャクしやすい人を見ると、アクセルとクラッチを同時に動かしていることが多い。両方を一度に操作しながら半クラッチのポイントを探っているのでは、やりづらいのも当然だ。このようなときは、先にアクセルを少し開けた状態で保ち、クラッチ側だけを操作してつなぐようにしよう。クラッチのつながり具合だけを気にすればよいので、やるべきことがシンプルになる。
    またクラッチ操作のとき、つながり具合を恐る恐る探るのでは、頼りない操作になってしまう。まずオートバイが「動きかける」(半クラッチ)状態まで来たら、いったんレバーをホールドする。次に、アクセルを開けながらレバーを離していく。このような二段階の操作を意識しよう。どの時点からオートバイが動き出すのかを意識することで、メリハリのある操作がしやすくなるだろう。

  2. シフトチェンジ時──切る・つなぐを丁寧に操作しよう
    走行中のシフト操作は、慣れてくるとつい雑になりがちだ。しかしクラッチをしっかり切りきれていないと、ギアがうまく入らなかったり、変速時にガクンとショックが出たりすることがある。「クラッチレバーを確実に握りきる」という基本を、あらためて意識してみよう。ただし、クラッチが切れている間は、駆動力がなくなっているため不安定な走行になりやすい。長い間レバーを握るのではなく、確実で素早い操作を意識しよう。

  3. 低速時──半クラッチを中心に速度を微調整しよう
    渋滞や駐車場内など、歩く程度の速度で進むときはアクセルだけでは速度の微調整が難しい。ここで活躍するのが半クラッチだ。アクセルは軽く開けた状態で一定に保ち、クラッチはオートバイがゆっくりと進む、半クラッチの状態に保つ。もし前に進む力が弱いと感じたら、レバーをほんの少し離して、クラッチのつなぎ具合を少し強める。速度が出すぎたら、少し弱める。アクセルは基本的に一定、微妙な速度調整をクラッチの強弱で行うわけだ。(もちろん速度が出てきたら、クラッチをつないでアクセルでの調整に切り替える。)
    このとき、リアブレーキを併用することも有効だ。半クラッチで進みながら、リアブレーキを少しだけ、引きずるようにかけよう。エンジンの推進力と、リアブレーキの減速力が綱引きしながら、低速で前に進むイメージだ。アクセルを少し多めに開けることができるため、エンストの不安が少なく、車体も安定しやすくなる。
    なおこのような操作は、慣れないうちはエンストなどにつながるかもしれない。まずは周囲に誰もいない状況で、少しずつ試すようにしよう。貸しコースなどの練習場所を確保できれば、万全だ。
    半クラッチとリアブレーキで低速を安定させる


クラッチの操作に自信がつくと、オートバイでできることの幅が大きく広がる。せまい場所での低速走行やUターンなど、応用範囲も広い。操る喜びをいっそう大きく感じることができるだろう。クラッチが苦手な方は、ぜひ参考にしてほしい。

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低速バランスのよくある質問

AT車も増えた今、クラッチ操作はもう必要ない技術ですか?

必要のない技術というわけではない。クラッチには発進・シフトチェンジ・低速時の駆動力調整という3つの役割があり、使いこなせると操作の幅がぐんと広がる。

半クラッチは低速走行でどう役立つのですか?

エンジン出力の一部だけを後輪に伝えられるため、微妙な速度調整ができる。渋滞のノロノロ走行や駐車場での低速走行など、低速で安定して走りたい場面で力を発揮する。

渋滞の低速走行で足を出したまま進むのはよくないのですか?

ある程度の距離を進むならよくない。足を出している間はニーグリップができず、上半身でオートバイを支えようとして腕や肩に余計な力が入る。足を出すほどの低速になったら、いったん止まってしまう方が安全で楽だ。

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低速ではフロントとリア、どちらのブレーキを使うとよいですか?

低速ではリアブレーキをメインに考えるとよい。フロントブレーキは車体が前のめりになりハンドルが切れ込んで不安定になりやすい。リアブレーキは挙動が穏やかで、落ち着いて速度を調整できる。

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渋滞のようなノロノロ運転でふらつくのを抑えるには?

ハンドルを左右に細かく切ってバランスを取るとよい。極低速では車体本来の安定が弱まるため、大きく傾いてから直すのではなく、小さな傾きのうちに小さく修正するのがコツだ。

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波状路とはどんな課題ですか?

大型二輪免許の検定課題で、地面に置いた「はしご」のような段差の上を低速で通過するものだ。長さ9.5m・幅70cmの直線コースに高さ5cmの枕木が9本ならび、基本は立ち姿勢(AT車は座ったまま)で、5秒以上かけて通過することが求められる。

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波状路をクリアするコツは何ですか?

大きく三つある。一つ目は、しっかりとしたニーグリップで下半身から車体につかまること。二つ目は、段差に対してタイヤを直角に向けること。三つ目は、段差を一つずつ丁寧に乗り越えることだ。アクセル・半クラッチ・リアブレーキを使い分け、落ち着いて操作したい。

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波状路の技術は公道でも役に立ちますか?

役に立つ。荒れた路面に行き当たったときや、駐車場の出入りで段差を乗り越えるときなど、速度を落として安全を確認しながら段差をクリアする場面で生きてくる。検定だけの課題ではなく、意外に実用的だ。

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波状路が怖いのですが、免許取得後も練習する意味はありますか?

いくつもの段差を相手にする課題なので、怖いと感じるのは無理もない。それでも公道での実用性を考えれば、ときどき練習しておく価値はある。安全運転講習会などでカリキュラムに入っていることも多いので、機会があれば参加してみよう。なお転倒のリスクがあるため、練習は公道ではなく、講習会や貸しコースなどクローズドな環境で行いたい。

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Uターンをもっと小さく回れるようになるコツは?

リラックス・迷わない・しっかり車体を倒す、の3つだ。緊張するとハンドルを押さえつけ大回りになる。直進状態からしっかりハンドルを切り、低速でも倒しやすいリーンアウトで車体を倒す。

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小さく回るUターンの練習は、どこで行えばいいですか?

公道での練習は大変危険なので避けたい。リスクの大きい操作のため、貸しコースや安全運転講習会など、安全な場所を確保して練習する必要がある。

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