出発前のおすすめルーティン!オートバイ点検の合い言葉は「ブタと燃料」

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チーフライター
Kakeru Moriyama

二輪車安全運転指導員として14年ほどの実績。主に安全運転講習会で多くの受講生の方にアドバイスをさせていただいた経験を元に記事を発信しています。

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ガソリン携行缶を持つライダー姿の豚

定期点検を受けていても、出発前のひと手間が安心をつくる。覚えやすい合い言葉「ブタと燃料」で、ブレーキ・タイヤ・灯火類・燃料を確認する乗車前点検のやり方を説明しよう。


なにかをしようとするとき、まず準備をすることが大切だ。買い物に行くならば、財布を持ったか確認する。ジョギングならば、清潔なスポーツタオルをデイパックにしまう。準備をせずにあわててでかけると、ろくなことにならない。レジで財布を忘れたことに気づくとか、タオルがないので汗を拭きたくても我慢するとか。

オートバイも同じである。

近場のショップでの買い物であれ、ツーリングであれ。乗車前に行いたい準備は、いくつもある。面倒くさくておざなりにすることも多いだろう。しかし、いざというときには、準備の有無が明暗を分けることもある。

ここでは大切な準備のひとつ、乗車前の点検 について、整理してみよう。

乗車前点検の意義は、もちろん、安心して安全にオートバイに乗ることだ。なかには、ディーラーで定期点検をしているから、乗車前点検は必要ない、と考えるライダーもいるだろう。しかしオートバイは、きわめて高性能で精密な機械だ。しかも多くの重要な部品が、外気に露出している。乗り方や保管方法にもよるが、摩耗や劣化で不調になるリスクは高い。また、部品の劣化は少しずつ進行する。多少の不調には慣れてしまい、気づけないことも多い。

だから日常的に点検をすることで、不調の芽を摘むことが大切だ。

点検項目はいくつかあるが、全部やろうとすると負担に感じてしまうかもしれない。まずは入門編として、最低限必要な点検の説明をしたい。ここで、大切なキーワードを覚えよう。「ブタと燃料」 である。

これは、点検項目の頭文字を並べたものだ。順番に説明しよう。

「ブ」はブレーキ。 これが不調だと、オートバイは止まることができなくなる。超重要項目である。

「タ」はタイヤ。 唯一地面と接しているタイヤに不調があれば、安全に走ることができなくなる。最低限の項目として外せない。

「と」は灯火類。 ヘッドライトやウィンカー、ブレーキランプなどのことだ。暗い夜道を照らすだけではない。ウィンカーやブレーキランプは、オートバイの動きを他の車両に伝えるコミュニケーションツール。正常に作動しなければ、予測不能な動きを繰り返す、危ない運転に見えてしまうかもしれない。

「燃料」は、言葉通りガソリン。 ガソリンが十分に入っていないと、立ち往生することになる。市街地ならばともかく、休日の山道などでは洒落にならない。

これらの点検に要する時間は、せいぜい1〜2分。毎回の習慣にすることも簡単だろう。そしてその効果は、とても大きい。安心して走り出すことができるし、万が一異常を発見したとき、手遅れになる前に修理をすることもできる。点検をしたオートバイは、ライダーに安心感と余裕をもたらす。その余裕が、楽しい走りにつながる。楽しく走るために、ぜひ乗車前点検の習慣を身につけよう。

具体的な点検方法は、次のモトカケレッスンで説明する。ぜひご覧いただきたい。

モトカケレッスン

公道を走行する際は法令などを遵守の上、以下の点を守り安全運転につとめてください。 

  • 走行前に車両の点検を実施し、異常がある場合は無理に走行することは控えてください。
  •  ヘルメット・プロテクターなどの安全装備や、防護効果の高いライディングウェアなど適切な装備を着用してください。
  •  発進前には必ず後方の安全確認を行ってください。また周囲に他の車両が走行している状況では、急な進路変更や加減速などリスクのある走行は控えてください。

必要最小限の項目を表す「ブタと燃料」にしたがって、点検のしかたを確認しよう。なお点検は原則、エンジンを切った状態で(灯火チェックは例外)。周囲に障害物がないところで行おう。

  1. 「ブ」=ブレーキ
    まずブレーキが正常に作動するか。オートバイにまたがって、フロントブレーキを握り、車体を前後に揺すってみよう。カチッと止まっていればOKだ。リアブレーキも同様に確認する。もしスカスカするような頼りなさを感じるなら、ブレーキが効いていない可能性がある。ツーリングはあきらめて、ディーラーなどに相談しよう。
    レバーの握り具合にも注意したい。正常に調整されていれば、最初は数ミリ程度のあそびがあり、しっかりと握り込んでもレバーがグリップから距離を保っているはずだ。あそびが大きすぎたり、握った感触が頼りなかったり、グリップにあたって最後まで握り込めないようであれば、調整やフルード、ワイヤーの交換が必要となる。
    ブレーキパッドやシューの残量確認も大切だ。ディスクブレーキのキャリパーをのぞき込めば、内部にあるブレーキパッドの厚みが確認できる。薄くなっているようであれば交換の時期だ。(目安は2〜3mm程度)奥まっていて見づらいようであれば、ペンライトなどで光を当てると見やすくなる。ドラム式ブレーキの場合は、ブレーキ側の可動部分付近にあるインジケーターで確認できる。車種によって形が違うので、マニュアルなどで確認してみよう。
    ブレーキ残量の確認

  2. 「タ」=タイヤ
    まずタイヤ全体を目視で確認しよう。空気が抜けてぺたんこになっていないか。溝の深さは十分で、スリップサインが出ていないか。ひび割れなどが発生していないか。問題なければ近づいて、釘などの異物が刺さっていないかもチェックしよう。オートバイを少し移動するなどしてタイヤを回転させ、全周をくまなく見ることが大切。かげに隠れて見えない部分ほど、釘が刺さっていたりするものだ。さらに空気圧のチェックができれば万全。道具を持っていなければ、ガソリンスタンドに立ち寄って、給油のついでに空気圧チェックを行おう。

  3. 「と」=灯火類

    • まずキースイッチをオンにして電源を入れる。必要であればエンジンもかけて、灯火類が作動できるようにしよう。
    • ヘッドライトはロービームとハイビーム、両方とも点灯するかを確認。
    • ウィンカーは前後左右、計4つがすべて正常かを確認。サイドバッグなどをつけていると、小さなウィンカーは隠れてしまうこともある。注意が必要だ。
    • テールランプは、なにもしていないときに後方の赤ランプが点灯しているかを確認。
    • ブレーキランプは、前後のブレーキをかけたとき、点灯するかを確認。調整が不十分だと、普通にかけたくらいでは点灯しないこともある。そのようなときは、ブレーキレバー周辺の調整が必要だ。
    • ナンバープレートを照らすナンバー灯を確認。点灯しないと法令違反になってしまう。注意しよう。
    • 厳密には灯火ではないが、可能であればホーンも確認。ただし、住宅街などでむやみに鳴らすと、近所迷惑だ。十分に注意しよう。
      灯火類
  4. 「燃料」=ガソリン
    ガソリンが十分に入っているか。タンクの蓋を開けて、目視で確認しよう。見づらいときには、車体を揺すってみるとチャポチャポと音がする。音の遠さで残量の見当が付く。あらかじめ、満タンの時とカラに近いとき、それぞれの音の違いを確認しておくと、わかりやすい。燃料計を装備している車種も多いが、車体の傾きで表示が変わることもある。それだけに頼るのでなく、自分の目で直接確認すれば安心だ。


ツーリングに出発する前、点検という一手間をかけることで、走り出してからの安心感が大きく変わる。楽しいツーリングの思い出のために、ぜひ乗車前点検の習慣を身につけよう。

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メンテナンスのよくある質問

定期点検を受けていれば、乗車前点検は不要ですか?

不要とは言えない。オートバイは精密な機械で重要部品が外気に露出し、摩耗や劣化のリスクが高い。劣化は少しずつ進むため気づきにくく、日常の点検で不調の芽を摘むことが大切だ。

乗車前点検の合い言葉「ブタと燃料」とは何ですか?

点検項目の頭文字だ。ブ=ブレーキ、タ=タイヤ、と=灯火類、燃料=ガソリン。最低限押さえたい項目で、点検はせいぜい1〜2分で終わる。

バッテリーのトラブルを防ぐには、何をすればいいですか?

もっとも効果的なのは、こまめな乗車前点検だ。音や灯りの変化に気づいたら、早めにショップへ相談すればトラブルを防ぎやすい。

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バッテリーが弱ってきたサインはありますか?

セルモーターの音がいつもより頼りない、ヘッドライトが心なしか明滅して見える、といった違和感がサインになりやすい。早めに気づければ、出先での立ち往生も防ぎやすい。

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「メンテナンスフリー」のバッテリーなら、点検はいらないのですか?

いらないわけではない。液の補充が不要なだけで劣化は進む。乗る前のこまめな点検が大切だ。

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昔のオートバイは、バッテリーがなくても走れたというのは本当ですか?

一昔前は本当だった。発電機を内蔵していて、エンジンさえかかれば必要な電力を自分で作り出せたからだ。ただし電子制御が複雑な現代のオートバイには当てはまらないことも多く、バッテリーは欠かせない。

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スリップサインとは何ですか?

スリップサインは、タイヤの溝の底から0.8mmの高さに設けられた、摩耗限界を示す突起だ。タイヤがすり減り、スリップサインとタイヤ表面が同じ高さになったとき、残り溝は0.8mmに達している。そうなる前に、タイヤを交換しなければならない。

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スリップサインが出るまでは、タイヤを交換しなくても大丈夫ですか?

スリップサインが出ていれば、溝の深さは0.8mm以下になっている状態だ。実際には誤差もあるだろうから、0.8mm未満になっている可能性が高く、これは法律違反となってしまう。

またスリップサインが出るまで摩耗したタイヤでは、本来の性能を発揮できない。だからスリップサインが完全に出てしまう前に、余裕を持ってタイヤを交換するのが安全だと言える。

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スリップサインはどこを見ればわかりますか?

タイヤ側面の三角マーク「▲」を探し、その延長線上の溝の中を見るとよい。(車種によって異なる)サインは中央だけでなく、直進で接地するセンターや、コーナーで接地するサイドなど複数箇所にあるので、まんべんなく見たい。

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一カ所だけスリップサインが出ていても交換が必要ですか?

必要だ。「サイドはあやしいがセンターは大丈夫」とはいかない。どこか一カ所でもスリップサインが出そうなら、そのタイヤは交換のサインだ。

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チェーン点検では何を見ればいいですか?

たるみ具合・コマがスムーズにつながっているか・注油されているか、の3点だ。チェーンはエンジンの回転を後輪に伝える要の部品で、壊れると走れなくなる。

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走行中にジャラジャラ音がするのは、どういう状態ですか?

劣化したチェーンが出している音である可能性がある。音が出る時点でかなり劣化が進んだ状態で、走りにも影響が出ているはずだ。そうなる前にこまめな点検で異常を見つけたい。

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